京都にはステキな本屋が多い。
「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」をうたう「恵文社一条寺店」。
その近くには古本屋の「ガケ書房」があった。
それがいつのまにか閉店になり、場所を変えて新刊書店「ホホホ座」として生まれ変わった。
そんなことを、大野に出かけて思い出した。
「ホホホ座金沢」があったのだ。
本は少なかったが、個性的なお店は大歓迎だ。
で、金沢で古本屋といえば「オヨヨ書林」。
香林坊の裏手、せせらぎ通りにある古風な佇まいのお店だ。
初めて訪れたとき、昭和12年初版本『随筆新雨』(内田百閒著)に出会った。
「ステキな蔵書印ですよね。この装丁もご自身でされたのかも」
レジで店員がいう。
その物言いに、
本に愛情を注いでいる店だな。
そう感じた。
そんなオヨヨ書林で蓄音器を聴くイベントがあるという。
「金澤蓄音器音楽団第2弾」。
早速申し込んだ。
「ひらみぱん」のスープ餃子付きで2,500円だ。
最前列真ん中の椅子をキープして、まずはスープ餃子をいただく。
餃子は肉厚でしっかりとした歯ごたえがあり、
スープはあっさりした味だった。
さて、目の前には2台の蓄音器。
左手のが今日のホスト、いしいしんじさんのだ。
よく見ると目鼻が描かれてあった。
誰も突っ込まないが、いしいさんの蓄音器への愛情なのだろう。
2時間かけて、いろんなジャンルのSP盤がかけられた。
ジャズやブルース、ポップス。
ぜんぶいしいさんのコレクションだ。
「CDは何かをしながら聞くが、蓄音器は正座して聴く感じ」
いしいさんがいう。
一回かけるたびに擦り切れていくレコード。
一回ずつ、レコード針も替えていくのだ。
いい音かと言われると首をかしげてしまう。
でも、デジタルの音に慣れている耳には、
臨場感があって「生」の音という感じがした。
「蓄音器はタイムマシン。あの頃の音楽がそっくりそのまま現れる」
いしいさんが言うのにもうなづける。
実は金沢には「金沢蓄音器館」というのがあるらしい。
今回はその館長もホストとして参加していた。
今度一回行ってみよう。
金沢は音楽で包まれた町。
いろんな音色が町にあふれている。