『ほぼ日手帳』でおなじみの糸井重里は、
日経MJのインタビューで、
ひとがもともと持っていた喜びや望みが今回のコロナを機に変わるという意見は、はやりに乗った議論だなと思いました。
という(敬称略。以下同様。)
たしかに今の変化が「ニューノーマル」として定着するのか、
もとに戻るのか、不透明な部分はある。
しかし、
山口周と尾原和啓は、
対談集『仮想空間シフト』で、
もはやオフラインは存在しない。
オンラインファーストにすべて再構築する必要性がある、
と主張している。
そしてこう問いかける。
みんな、
コロナが収束したといって「かつての日常の完全な回復」を本当に望んでいるか?
まあ、
望む望まないは別にして、
コロナで「サラリーマンにとっての仕事」は大きく変わった。
テレワークが、コロナで一気に広がり、
毎日、通勤する必要がなくなった。
いままでは通勤する必要があったせいで、
仕事をする場所(会社)が住む場所を限定してきた。
それが、
好きな場所に住んでもいいんじゃない?
ということになった。
いや、それどころか、
夏は北海道で、冬は沖縄に住む、
というライフスタイルも可能で「定住」の意味さえなくなった、
と、対談では指摘している。
さらに、そもそもの話として、
仕事に対する意識をガラッと変えないといけない
という。
家で仕事をするのなら、いくらでもサボれる。
会社もコストがかかるので、四六時中監視してはくれない。
だから、
いまやっている仕事にやりがいはあるのか?
自分を成長させてくれるものか?
ということが、報酬の多寡よりも重要になるのだ、
そして、それが進んでこれからは、
仕事そのものがエンターテインメントとして消費される時代になっていく
と、いままでとはまったく違う仕事観を提示する。
いやいや、コロナっていっても、
現実はそう簡単には変わらないだろう。
そう思っている方(とくに中高年)に、
本書『仮想空間シフト』は刺激的だ。
まだ若いつもりでも、
いつのまにか時代遅れになっているのに、
きっと気づける一冊だ。