ビットコインなど、いわゆる仮想通貨(2020年6月までに「暗号資産」に呼称変更予定)には、あまりよい印象はない。
ハッキングによる流出が後を絶たず、
2018年だけでも、
1月にコインチェックから約580億円が流出。
9月にはテックビューロ運営の交換所からも約70億円が流出。
先日も、
ビットポイント、仮想通貨35億円流出(2019年7月12日発表)
のニュースがあったばかり。
とても信頼できるシロモノではない。
また、
価格の急騰で数々の「億り人」(投資や投機で1億円以上の資産を築いた人)を出し、
もはや通貨というよりは投機対象となり、詐欺事件も多発している。
なんだかうさんくさいのだ。
しかし、
当初、国家や大組織に管理されない通貨の実現、という崇高な目的で生み出された仮想通貨を正しく理解してほしい、
という、
マルク・カルプレス著『仮想通貨3.0』を読み、だいぶ印象が変わった
著者は、世界最大の仮想通貨交換所マウントゴックスの元運営者。
会社は2014年2月ハッキングにあい、480億円の仮想通貨を流出させ破綻した。
その当事者が、
苦い経験をもとに、仮想通貨の歴史や基本となるブロックチェーンのしくみを説明しており、実にわかりやすい。
今年後半には、三菱UFJフィナンシャルGから
「coin(MUFGコイン)」の実用化が予定されており、
今のうちに本書で仮想通貨の正しい理解をしておきたい。
なぜ、これだけ真剣になるのか。
それは、現在、こんなふうに
仮想通貨を含めたフィンテックの進展が地銀の存在を揺るがす
という話が現実味を帯びてきているからだ。
フィンテックが地銀に及ぼす影響は、
「地域金融機関のビジネスモデルとフィンテック」(銀行実務2017年8月号)に詳しいが、
要約すると課題は、
フィンテック・ベンチャーによる仲介者(=銀行)の中抜きに対抗するため、
ケタ違いのレベルの技術革新に対応できるか、
ケタ違いのレベルの技術革新に対応できるか、
ということだ。
とくに、
現段階では問題が多い仮想通貨だが、今後劇的に安全性と信頼性を高めれば通貨の概念そのものが一変する。(日経朝刊 7月19日記事)
という指摘には、一銀行員として真摯に耳を澄ましたい。