ビジネスの基本は数値化による管理・予測だ。
本書『数字まみれ』(ミカエル・ダレーン、ヘルゲ・トルビョルンセン著)は、なんでも数値化しようとすることに警鐘を鳴らす。
以下、内容を要約する。
気づけば、私たちの生活は数字に支配されている。
スマートウォッチが毎日の歩数を教え、SNSの「いいね」が自己評価に影響を与える。
仕事ではKPIや売上、健康管理では体重やカロリー計算。
もはや、数字なしでわたしたちは生きられない時代になった。
それはまるで「数字という伝染病」にかかったようなものだ。
数字は本当に「真実」なのか?
古代ギリシャのピタゴラスは「万物は数なり」と語ったそうだ。
確かに、ピラミッド建設も月面着陸もすべて数字の計算の上に成り立っている。
しかし、数字はあくまで「人間が作ったもの」。
本当にすべてを数字で測れるのか?
たとえば、映画の評価。
たまたま機嫌の悪い評論家が低評価をつけただけで、観るのをやめてしまうことが今までなかったか?
睡眠アプリが「睡眠不足」と表示すると、本当はぐっすり眠ったはずなのに「なんだか疲れた気がする」と思い込んでしまうことは?
数字が奪う「本当の価値」
運動の楽しさは「カロリー消費量」や「平均歩行速度」に置き換えられ、ジョギングは健康のためというより「実績」のための活動に変わってしまう。
自己定量化が行き過ぎると、私たちは「数値を良くすること」自体が目的となり、純粋な喜びや楽しみがだんだん薄れていく。
SNSでは「いいね」の数が多ければ自信がつき、少なければ不安になる。
フォロワー数が多い人の発言は、たとえ内容が薄くても説得力を持ってしまう。
これらの「数字の呪縛」から抜け出すのは簡単ではない。
数字との付き合い方を見直そう
それではどうすればいいのか?
筆者はいう。
数字には便利な面もあるが、「数字がすべてではない」 という視点を持つことが大切だと。
具体的には、
これが「数字という伝染病」に対する「ワクチン」だ。
数字は変化するし、作られたもの。
本当に大切なことは数字の外にあるのかもしれない。