2011年3月11日。
多くの命が失われた東日本大震災。
2011年8月27、28日。
復興半ばで開催された荒吐ロックフェス。
僕は、震災後わずか半年足らずの仙台に立っていた。
こんなときに音楽聴いてていいのか?
ボランティアに行くべきなんじゃないのか?
迷っているとき、宮城県警に勤める後輩からメールがきた。
「来てください。見てください。そして、いっぱいお金を使ってください。」
フェスは例年4月開催だ。
それを中止にせず、あえてこの時期に開催する意味は何か?
「わかった。行くね」
メールにリプした翌日、金沢発仙台行きの夜行バスの切符を買った。
ーーーフェス会場は、例年通り華やかだった。
大震災を想起させるものはなにもない。
いい天気だ。
晴れわたるおだやかな空を仰いで、思う。
天災という理不尽にどういう意味がある?
仙台に来たところで、いったい自分に何ができる?
音楽にチカラはある?
Coccoが唄う。
悲しみは いらない
やさしい歌だけでいい
あなたに降り注ぐすべてが
正しいやさしさになれ
フェス会場で、ずっと涙が止まらなかった。
「ごめんなさい」
なんで謝ってるのか、
なにに謝ってるのか、
そんなことは分からない。
ただ声に出して、ずっと泣いていた。
笑っていてほしい
守るべきものたちに
明日も訪れる何かが
正しいやさしさであれ
音楽のチカラを信じて仙台まで来て、
でも、
何ができるかわかりません。
何をしたいかわかりません。
答えが出ぬまま、あれから8年。
そして僕は、
今年も、ひとりで、仙台へ。
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