2019年10月13日。
台風19号の激甚な被害で暗いムードのなか、
ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で、
日本がスコットランドと対戦し、
28―21で勝ち、
A組首位で悲願の8強入りを果たした。
そのニュースで思い出した。
先日「ディープラーニングビジネス活用アワード」の表彰式で、
大賞を受賞したキューピー株式会社の
生産技術部・未来技術推進担当の荻野武担当部長が、
「One for all, All for one」
というフレーズを繰り返していたのを。
そのとき初めて知ったのだが、この言葉は、
という意味ではなく、
という意味なのだそうだ。
で、このフレーズがどういう文脈で出てきたのか。
今回キューピーが開発した「AI食品原料検査装置」は、
人手に頼っている異物混入対策などの食品の原料選別を、
ディープラーニングが得意とする画像認識の技術を使った検査装置に置き換えたものだ。
「ただ、それだけだと、ディープラーニングを活用する効果の最大値が人件費削減分にとどまってしまう。これでは活用の舞台は大きく広がらない」
同アワードの審査委員長、日本ディープラーニング協会の松尾豊理事長はこう指摘する。
荻野部長も同じ問題意識を持っており、
「食品業界も、電機メーカのように今後凋落するかもしれない。
中小企業の技術力なども交え、オールジャパンでイノベーションに取り組まないといけない」
という。
だから、
「オールジャパンという目線から、この新装置を同業他社へ利益を乗せずに販売する」
そうだ。
どの会社がすごいかではなく、
それぞれの企業が自分の役割をきちんと果たしながら、
日本というチームで、
一つの目的に向かって機能し、フォローし合い、目的を達成する。
それがAI時代に日本が生き残る道だという。
キューピーという大会社が、
潤沢な開発資金を使ってディープラーニングの開発をしたんだから、
大賞を取っても当然だろう、
と、少しよこしまな目で見ていたが、
講演を聞き感動した。
日本もまだまだ捨てたもんじゃない。
日本というチームで、未来を創っていきたい。