相談者「GPSを使ったトラックの配送システムで起業しようと思っています」
著者「そうですか。どんなものか試作品を見せてください」
相談者「いいえ、まだ作っていません」
著者「では、あなたはトラックの関連業種、物流の配送にコネクションがあるんですね」
相談者「いいえ、ありません」
世の中ではこれを妄想といいます。
これは『起業を考えたら必ず読む本』(井上達也著)の相談事例だ。
このように起業を甘く考えている人は多い。
本書では、このような事例を踏まえて起業する際のポイントを辛口で紹介している。
以下、いくつか挙げてみたい。
柔軟な姿勢で臨む
起業は「こうでなければならない」と決めつけず、変化に対応できる柔軟な姿勢が大切です。時代も変わるし、自分の考えも変わることを前提に、無理に急がず、お客さまのニーズが具体的に見えてくるまで待つことも選択肢の一つです。
事業は「売れるかどうか」がすべて
事業とは「お金を払ってくれる人がいるかどうか」が最も重要です。成功するビジネスは「知り合いの〇〇さんなら必ずお金を払ってくれる」と具体的に想像できるものです。まずは身近な人を想定して考えましょう。
ビジネスのヒントは広告にある
他社の広告を観察し、「なぜこの広告を出しているのか?」と考えるクセをつけることで、新たなビジネスモデルの発見につながります。広告は市場のニーズを映す鏡です。
まずは「売ること」から始める
起業家が最初にすべきことはたった一つ、「売ること」です。商品やサービスを作る前に、お客さまが本当に欲しいものなのかを確認しましょう。試作品もなく、業界のつながりもないままでは、単なる妄想で終わってしまいます。
価格設定とターゲットの関係
価格によって、集まる客層は変わります。安い値段には安いお客さま、高い値段には高いお客さまが来ます。価格はサービスの価値やブランドイメージにも影響を与えるため、ターゲットを明確にして(価格を)設定しましょう。
資金繰りは先手を打つ
借りられるお金は早めに借りておくのが鉄則です。経営が苦しくなってからでは融資を受けるのが難しくなります。また、今は低金利の時代なので、資金調達の選択肢として検討する価値があります。
経営に必要な基礎知識
最低限、簿記の知識や試算表を読む力を身につけ、経理ソフトの操作方法も学んでおきましょう。また、起業前にホームページを作成しておくと、集客にも役立ちます。
売れるまでには時間がかかる
どんなに良い商品やサービスでも、売れるまでには時間がかかります。特に無名の会社の商品は、お客さまからの信用を得るまで約1年半かかると考えたほうがよいでしょう。逆に2年以上売れない場合は、撤退を検討する目安になります。
良いデザインには投資を
中小企業の商品が安っぽく見えるのは、デザインにお金をかけないからです。広告、パッケージ、ホームページなど、見た目に関わる部分には投資を惜しまず、ブランドの信頼性を高めましょう。
会社経営の本質とは
起業して最初の1年間で学ぶべきことは、「経営者とはどういうものなのか」を知ることです。商売は結局のところ人間関係です。売上に直結することに集中し、経営者としての視点を磨いていきましょう。
起業は決して楽なものではありませんが、「究極のゲーム」と考えれば楽しむこともできます。
成功への道のりを一歩ずつ進んでいきましょう。