2019年3月24日、日曜日。
名古屋は、春。
桜が咲いていた。
ライブサーキット「IMAIKE GO NOW 」に参加した。
10か所のライブハウスで53組のアーティストがパフォーマンスする。
基本、オールスタンディング(座席がない)だ。
来月56になろうとしているのに、
なんで、わざわざ名古屋まで遠征するのか?
『ロッキング・オン・ジャパン2018年1月号』に
「なぜ大人になると音楽を卒業する人がいるのだろう?」
というコラムが載っていた。
その中で、音楽のリスナーを「引退」する一番大きな理由として、
「新しい音楽についていけなくなった」
ことが挙げられていた。
たしかに、10代、20代のころ、
音楽はいつも大切な思い出といっしょにあった。
中学生のとき、
おこづかいをはたいて初めて買った吉田拓郎のLP『伽草子』は、今もぼくの本棚に並んでいるし、
大学生で初めて彼女ができたとき、
徹夜して並んでチケットを取ったオフコースのコンサートは、目をつぶればその照明のきらめきを今でも思い出せる。
社会人になって、
披露宴で流すサザンの曲を彼女と一所懸命選んだことも、ぼくはいつまでも覚えているだろう。
それが30代、40代と歳を重ねるにつれ、
いつのまにか音楽とのつきあいは、カラオケで歌えそうなCDをレンタルするだけになっていった。
大人になれば、感動や刺激がなくても毎日生きていける。
自分の心の中に占める音楽の面積がどんどん小さくなっていく。
自分から新しい音楽に触れる動機(モチベーション)がどんどん薄れていくのだ。
もちろん好きな音楽は大切にしたい。
でも、それと同時に新しい音楽に触れる機会も持ち続けたい。
それが遠征までして、いろんなライブサーキットに顔を出す理由だ。
いくつになっても変わらず、ずっと。