2019年9月15日、日曜日。
台風15号の影響で、千葉ではまだ停電が続いている。
テレビから次々流れてくる非現実的なシーン。
その中で、ろうそくの灯りで食事をしている姿があった。
それを見て思い出した。
2017年12月24日、日曜日。
石川県立伝統産業工芸館でろうそくを買ったことを。
ここの2階の展示室には、
石川県の36種の伝統工芸品が展示されている。
九谷焼、加賀友禅、輪島塗、金沢箔・・・。
どれも美しい工芸品だ。
しかし毎日使うものではない。
そう思って経路をたどっていた。
そして、出会った。
七尾の和ろうそくに。
七尾は能登半島の富山湾側にあり、
能登地方の中心都市だ。
そして、石川県で唯一、和ろうそくを作っているのが
七尾市の「高澤ろうそく」というお店。
小さくて真っ黒な鉄の燭台。
和ろうそくはなめらかなラインが美しい。
一目ぼれした。
すぐに1階のミュージアムショップで和ろうそくを購入。
きれいな箱に、
燭台、敷布、小さな和ろうそく16本、
そしてろうそくの火を消すキャップ付ライターが入ったセットだ。
で、夜を待って、ろうそくを点す。
小さな和ろうそくは、色が黄色で「菜の花ろうそく」という。
燭台に菜の花ろうそくを刺し、
燭台ごと敷布に載せ、
部屋の明かりを消し、点灯。
ろうそくの灯りが暗闇を切り取り、
明るさがその分広がる。
灯りは小さいので圧倒的に暗闇が大きい。
しかし、小さいながら
たまにゆらぎつつ、
まっすぐ美しく燃えている。
見つめているうちに、
ろうそくはどんどん小さくなる。
切り取られたはずの暗闇がどんどん大きくなり、
やがて線香花火のような小さな火の玉を見せて、
次の瞬間、消えた。
暗闇の中で、ひとり。
今宵、クリスマスイブ。