昨年(2018年)の5月15日。
久しぶりに京都にいた。
関西在住の友人から、
「一緒に京都に事務所を持たない?」
と誘われ、
「京都もいいな」
と思ったからだ。
その日京都は、
ちょうど「葵祭」で賑わっていた。
10時半に京都御所の宣秋門を出発した行列は、
堺町御門から御所を出て、丸太町通を鴨川に向かう。
そして、鴨川の手前で左に折れ、
河原町通をまっすぐ上っていく。
やがて、右手に現れる出町橋で鴨川を渡り、
予定では11時40分、下鴨神社に入る。
いい天気だ。
大きな車輪の牛車が印象的だった。
そのあと、烏丸御池のハローワークに行った。
(京都ではどんな求人があるんだろう?)
ちょっと話を聞いてみたかったのだ。
ハローワークカードを受付に出し、
用件を伝える。
番号札をもらい、しばらく待つと呼び出された。
さすが、京都。
観光業含めいろんな職種の求人があった。
しかし、そんなことより、担当者に、
「なんで会社を辞める必要がある?」
と聞かれて、心が揺らいだ。
「この年齢(55歳)で自己都合で辞めれば、確実に年収が減る」
「安定を求めて今のまま、のんびり働けばいいのではないか?」
至極当然のアドバイスだ。
「『今より生活レベルが落ちてもいいから、どうしてもやりたいこと』、それがあなたにはあるのか?」
ある!
とまだ言えない。
まだちゃんと絵を描けてないのだ。
ハローワークを後にしてバスにも乗らず、
京都の町中をひたすら歩いた。
脚が痛くなっても、自分の足で歩きたかった。
自分の足で。
イノダコーヒーで、前述の友人と待ち合わせしていた。
彼女は、フリーのデザイナー(46歳)だ。
会うといつも、
「大丈夫。(独立しても)やっていけるから」
と励ましてくれる。
励ますだけでなく、
「予備校の講師ないか、知り合いに声かけとくから」
とか、
「今度、コンサルの勉強会あるから、よかったら来る?」
とか、いろいろ気を遣ってくれる。
まだ何にもできない自分には、
すごくありがたい。
でも、これといった夢もない自分だから、
とても不安になる。
(自分ひとりでできるだろうか?)
頼ってはいけない。
自分の足で歩かなきゃ、この先、
一歩も前に進めないのだ。